2010年9月8日水曜日

お金を借りたいドライバーの新事実

すでにシリーズ化してきた感がある”お金を借りたいドライバー”の話ですが


連載1回目はこちら


連載2回目はこちら


今朝、夫からメールがあって


「ドライバーMがやっと僕にお金の話を切り出したよ!
給料の前貸しは出来ても借金の申し出は受けられないって言っておいた」


とのことでした。そもそも事の発端は、Mが携帯をなくして新しい
携帯を買うか、妹の授業料を払うかどっちかを選ばなくちゃいけない、
という話だったのですがドライバーが携帯を持っていないのは
私たちにとっても不便だったので最初は私の使っていない携帯電話を
貸しておいて、夫が自分の使っていない携帯電話を見つけたらそれを
あげるということになったのです。つまり、Mは携帯をなくしていなくても、
今にして思えば妹の授業料のお金を私たちに借りるつもりだったのかも。


私たちからすれば別にすごい額じゃないんです。Mが、この人なら
貸してくれる経済力だろうと思うのは当たり前の話なんです。
問題は、その額じゃなくて、ただの雇用関係に”借金”を持ち込むこと。
彼を雇ってまだ一ヶ月も経たないうちからこんなんで、この借金の
申し出を受けてしまったら、三年後には一体どんなことになっているか
想像がつきます。ナイロビに多分沢山いる、金や物を自分は善意の
つもりでぽいぽいとあげ続けて、実は足下を見られているような
愚かな白人にはなりたくない、と夫の談。


と、思ったらドライバーM今度は私に頼んできました。


We can maybe help each other.


とか何とか言って。いや、でもあなたが私の運転をしてくれるのは
ボランティアじゃなくて仕事だし。


ローンを組んであげて、彼の月給の4分の1を4ヶ月で返すから、と。
(要するに必要な学は彼のひと月の月給分なんです)その口調から
察するに、「ボスは断ったけどマダム(私)さえ良ければ内緒で
借金してほしい」という感じでしたが、そんなくだらない(?)ことで
秘密を作るなんて馬鹿らしいので車を降りた後ですぐに夫に電話で報告。


きっぱりと断ればそれで済むんですけど、なかなか強く言えないところが
典型的日本人というか、とても内弁慶な実家の愛犬↓とよく似ているというか。






どうしたもんかな〜、と思っていたら午後帰宅してから夫の同僚の奥さん
(同じマンションに住んでいる)に何故か呼ばれました。このご夫婦は
もうすぐ帰国するのですが、私たちのドライバーとメイドの前の雇用主です。


休暇の話や、妊娠の話等を和やかにしていたところ突然奥さんが


「ドライバーMは頑張っているかしら?」


と話を変えてきます。ええ、とても。と当たり障りのない返事をしたところ
以下のような新事実が発覚。


ドライバーMは今とてもフランス語を習いたがっていて、語学学校に通おうと
思っているらしい。でも問題はまず妹さんの学校の授業料を払わなくちゃ
いけないらしくて、今の彼の経済状況からだと自分の語学学校の費用を捻出
するのは難しいので、奥さんは援助を頼まれた模様。全額じゃなくて
一部なら出してあげても良いという事で奥さんは了解したとの事。
まだ若いんだし、今後ドライバーとしてもっと割のいいサファリカーの
ドライバーになるにしてももう一カ国語できるのはすごい強みになる
と思う、との奥さんの見解。


「それで、あなたも少し出してあげられないかしら?」


と朗らかに聞かれてしまいました。ドライバーM、奥さんから私に頼むように
お願いしたに違いありません。


夫も私も、フランス語学校の事なんて全然聞いてません。
何で正直に話さないんでしょうね。


私は、この奥さんが簡単に「一部なら出してあげる」と了解した事に驚き、
私たちはどうするべきなのかますます分らなくなっています。何度も
言いますが全額でも決して大きい額じゃありません。だけど、夫も私も
自己満足の慈善活動がしたいのではなくて、もっと単純に、雇用関係の中で
きちんと働いた対価として給料を払うということがしたいだけなんです。
でも、その自己満足の慈善事業こそが(雇用なんかよりも?)ケニア人から
求められているなら、私は足下を見られていると思ってしまい、夫の同僚の
奥さんのように快くは援助する事ができません。心が狭いのでしょうか。
でも、同時に私たちに頼る意外に他にお金を工面できる当てがMにはない
だろうということも容易に想像できます。


さあ、夫はどう出るか?
(自分じゃ決められません、私)









0 件のコメント:

コメントを投稿